賃貸住宅政策の転換で低迷打開を
国土交通省の2012年1月における新設住宅戸数のデータ(建築着工統計調査報告)によると、新設住宅着工戸数は前年同月比で1.1%減の6万
5984戸となり、5か月連続の減少を示した。
着工床面積も5か月連続、2.7%の減少となっている。
世帯数を上回る住宅数
わが国の住宅事情は、量的には、総世帯数4716万世帯に対し、総住宅数5389万戸と充足している。
今後、人口減少により、世帯数の増加は緩やかに減少に転ずると推計される。
一方で、質については、一戸当たり平均床面積が、持ち家の戸建ては133㎡、共同建ては71㎡であるに対し、民営借家は44㎡と狭いスペースで、賃貸住宅の質は未だに低い水準にあるようだ。
市場重視、ストック重視で低迷打開を
不動産業界の今後の展開策として、市場重視、ストック重視の住宅政策への本格的な転換を図っていくことが必要となってくる。
ストックが量的に充足している現状の中で、これまでのような経営方針ではとても賄えるとは思えない。
そこで、そんな事情を踏まえ、住宅に困窮する低額所得者・高齢者・障害者等の、入居制限を受けやすい者の居住の安定の確保や質の向上など、賃貸住宅に関する大胆な政策の展開が求められている。
良質な賃貸住宅の供給を図るための策として、持ち家の賃貸化を促進していくべきだとの意見もある。
定期借地権の活用を図るほか、高齢者の住み替えニーズに着目して、高齢者が所有している持ち家(少子化で、居住人数が減少。多くは空き部屋のままになっている例が多い)を長期・継続的に借り上げて転貸し、家賃収入が得られるような取り組みを促進することも重要な手法だとしている。
新しいテーマで新商品の開発を
しかし、消費マインド全体の低下(買い控えに加え、家計事情の変化など)、リスク再検討に伴う不動産購入留保の動きなどが想定され、ここ数か月は景気の低迷感が再びぶり返してきた。
それに伴い13年間のマンション販売戸数と平均単価を見て、2012年の動向に期待が寄せられているものの、昨今の新設住宅戸数の動きを見る限りでは、当面大きな期待は望めないようだ。
耐震偽装問題をきっかけに行われた2007年の改正建築基準法施行、そしてそれに伴う行政側の準備不足・不手際が、同年夏以降の住宅市場における混乱や、新設住宅戸数の減少、そして不動産市場全体のつまづきのきっかけとなってしまった。
加えて、金融危機による資源高騰・賃金高で経費が上昇する中、金融機関の急激な引き締めによって関連企業の資金繰り悪化が、建設・不動産業界全体に打撃を与え、市場は急激に収縮してしまった、という経緯がある。
人々の消費性向も含めた生活様式・考え方が、以前と比べて保守的・中庸的・地域コミュニティを重視する方向に動きつつあるといわれている。
人々の「心の動き」が今まで以上に住宅取得の意識にも大きな変化を及ぼす可能性があるので、住宅を提供する側も、その変化を十分に組みした取り組みが求められるようだ。
全日かながわより〜仲介手数料無料不動産センター2012/11/20