国交省 平成25年度 概算要求〜耐震化、省エネに重点 中古流通活性化ヘ基盤作り
9月に公表された国土交通省の住宅・不動産関連の概算要求は、耐震化・省エネ建築物の促進、中古住宅流通促進のための基盤作りが主な内容であった。一次取得者層の住宅取得支援を目的に、フラット35Sの金利優遇幅拡大も盛り込まれている。住宅・建築物の耐震診断と改修については、現在も社会資本整備総合交付金による助成が行われているが、更なる国費の上乗せで事業促進したい考えを表した。大規模建築物や災害時の機能確保が必要な避難路沿道建築物などの耐震化促進費として、150億円の予算を計上。また、住宅の耐震改修についても、これまでの助成に加えて1戸当たり30万円を交付金で上乗せする内容とした。
- ゼロエネ住宅の普及 予算倍増で中小支援
省エネについては、ゼロ・エネルギー住宅(省エネ性能の向上、再生可能エネルギーの活用により、年間での1次エネルギー消費量が正味<ネット>ゼロになる住宅)の普及事業について、2012年度は23.1億円だった予算を50億円に拡充。
特に中小工務店への支援を重点的に行う。
先導的な省C02技術を導入した建物や、省エネ性能の向上に資するリフォームに対する支援事業「建築物省エネ改修推進事業」は、継続実施を要望した。
また、災害時などの非常時でも、自立して業務・生活・避難受入れなどができる環境整備の先導的プロジ、エクトへの支援も新たに盛り込んだ。
1件当たりの補助金が数億円に上ることも予想される。
「環境不動産Jの普及促進には、3,000万円の予算を計上。
まずは認証制度構築に向けた評価指標(ベンチマーク)を確立する作業に入る。
- 一体的建て替え支援
「都市の低炭素化の促進に関する法律」の成立を受けて、低炭素・循環型都市の実現に向けた取り組みへの総合的な支援も充実させる。
また、UR都市機構、地方住宅供給公社、民間事業者の建物が混在する場合の、一体的な建て替え整備事業への支援も行う。
協議会など全体をまとめる組織の立上げが条件で、30億円の予算を計上した。
中古流通活性化事業は、引き続き重点的に取り組む。
流通市場の整備と活性化事業費として1億2,200万円を要求。
事業者関連携による新たなビジネスモデルの調査・検討ーのために、このほど選定した全国12の協議会などを継続的に支援する。
不動産情報の一元的システム整備に向けた取り組みは、2014年度の基本設計構築に向け、2013年度は5,000万円の予算で構築のための調査を行う。
また、中古住宅の建物評価の査定方法を見直す検討も始める。
今は築年数に重きを置いたものになっているが、改修や使用状況など様々な要素を加味して評価していく内容を確立する考えだ。
更に、14億円の予算を使い、中古住宅・リフォームトータルプランの実現に向けた具体的なビジネス構築のための補助事業を展開していく。
- 「地価公示」は10%減
不動産取引状況や価格動向の提供事業にも力を入れる。
このほど開始したばかりの「不動産価格指数」の整備に4億2.700万円の予算を計上。
速報性やサンプル回収率を上げる施策も実施する。「取引価格情報の整備Ji地価LOOKレポート」については、2012年度と同様の内容で推進していく。
行政事業レビューの対象となった地価公示については、地点数の絞り込みを行い2012年度と比べて予算を10%ヲ|き下げた(33億6,300万円)要求となった。
そのほか、地域活性化に向けた新規事業として、不動産証券化手法による開発促進の相談窓口・パイロット事業への支援として4,200万円、駅前の低・未利用地における所有者の開発意向調査、情報提供事業として1,700万円を計上した。
- サ高住の供給を支援 セーフティーネットも
サービス付き高齢者向け住宅の供給促進のため、建設・改修費に対して引き続き支援を行う。
また、既存住宅などを活用して地域の子育て支援スペースを整備する住まいづくりにも注力する。
両事業の予算計上は355億円に上る。
住宅困窮者に対しては、公的賃貸住宅の供給とともに、民間賃貸の空き家を活用した重層的な取り組みで100億円の予算を計上し引き続き支援していく。
- 金利引下げ幅拡大 フラット35S 10年間、0.5%
国土交通省は、住宅金融支援機構が提供する長期固定型住宅ローン「フラット35SJのうち、2,000万円の融資額まで金利を0.5%引き下げる要望を提出した。
優遇期間は10年。
耐震性・省エネ性に優れた良質な住宅の取得支援が目的だ。
2,000万円を超える部分については、通常プランのとおり0.3%の引下げ幅となる。
月刊不動産より〜仲介手数料無料不動産センター 2012.10.23