2012年〜神奈川県・基準地価の動向と相場
〜県内は3年連続で縮小、川崎は唯一上昇に転じる〜
「7月1日時点の都道府県地価(基準地価)が9月下旬に発表された。
神奈川県内の地価は4年連続で下落したが、マイナス幅は3年連続で縮小した。
全国平均は住宅地が21年連続、商業地は5年連続で前年比マイナスとなったが、3大都市圏を中心に、下げ止まり傾向が広がった。」
県内927地点の平均変動率は、住宅地がマイナス0.7%、商業地がマイナス0.5%で、いずれも4年連続の下落に。
下落幅は3年連続の縮小となった。
川崎市は県内で唯一、住宅地、商業地ともに上昇に転じた。
前年と比較できる住宅地の継続地点(565地点)をみると、上昇地点は前年ゼロだったが、今年は川崎市の28地点をトップに、横浜市19地点、相模原市3地点など県内の計56地点に上った。横ばいは141地点だった。
56地点はJR南武線や東急東横線など主要路線駅近くの住宅地。
県土地水資源対策課は、「交通利便性が高く、駅から徒歩圏内という希少性が評価され、再開発が進んでいる」と説明している。
商業地も前年からの継続地点(206地点)のうち、29地点が前年のゼロから増加に転じた。
その大半が川崎、横浜市内だった。
50地点が横ばいだった。
停滞していた県内の不動産市場は着実に回復に向かっている模様だ。
市町村別の平均変動率は、川崎市が住宅地で最も高い。
中でも中原区が大きく伸び、商業地でも上昇に転じた。
県内で最も高い7.3%の上昇となった中原区新丸子東2-907-14地点の前年上昇幅はゼロだった。
上昇に転じた地点は、再開発が続く武蔵小杉駅周辺だけでなく、近隣の武蔵新城駅周辺からJR南武線沿線の高津、幸、多摩区にも波及した。
神奈川新聞によると、不動産経済研究所は「東京都区部とともに川崎が分譲マンション開発の主戦場となっている」と指摘。
その上で、「南武線沿線の各駅から徒歩圏の土地を大手と地元のデベロッパーが競い合って取得する動きが広がっている」という。
ただし、湘南地域の地価動向は明暗が分かれた。
大型再開発が進むJR辻堂駅北側の近郊住宅地は、価格上昇が波及した半面、藤沢・鎌倉市の沿岸部は東日本大震災の津波被害による懸念から、下落幅が拡大した。
藤沢市沿岸部の不動産仲介業者は、「海から1〜 2kmの内外で明暗が分かれた」と指摘している(神奈川新聞)。
事実、藤沢市鵠沼海岸、鎌倉市長谷、腰越など湘南ブランドを代表する地区の下落率が拡大した。
これまでは価格が高止まりして下がりにくかった傾向があった。
浜銀総研の湯口主任研究員も「津波に対する危機感が想像以上にマーケットに根付いている」と分析している。
ただ、湘南ブランドへの評価が長期的に損なわれるかについての見方には慎重という。
別のアナリストは「全国的な傾向からすると、沿岸部でもブランド力がある地点はすでに回復しているところもある。
湘南も一過性の反動ではないか」と、底割れ懸念は少ないと見ているようだ。
JR辻堂駅北側は、海から2km離れ、かつては大規模工場があった。
周辺に農地が点在するエリアだったが、再開発による住環境が整備されたことなどから、近郊開発に弾みがついた形だ。
同駅から2km圏内にある2地点、が住宅地の上昇率1位と3位に入るなど、地価上昇の広がりを鮮明にした。
辻堂駅北口には、湘南最大級のショッピングモール「テラスモール湘南」が2011年11月にオープンしたほか、オフィス、生活利便施設、大規模公園などが続々と完成した。
今秋には、高機能病院「湘南藤沢徳洲会病院」が開院するなど、活気づいている。
◆住宅地の地価
市区町村別の平均変動率は、横浜市内の大部分が0.1未満の下落。
都心への利便性が高い川崎市は0.5%増と上昇した。
相模原市は前年の1.5%減から0.7%減へと下落幅が縮小した。
地価上位5地点、をみると、昨年トップに躍り出た横浜市港北区日吉本町1-32-18に代わって、横浜市中区山手町247-6がl位に返り咲きld当たり44万円。
3位の川崎市中原区小杉御殿町2-144-1は42万6000円となった。
4位の横浜市青葉区美しが丘5-23-17カ'36万8000円で横ばい、5位は)1 1崎市中原区上丸子山王町2-1319-4の35万9000円で3.2%上昇した。
◆商業地の地価
平均変動率は、川崎市が前年の0.6%減から0.7%増と上昇に転じた。
中原区新丸子東2-907-14は県内最高の7・3%増の上昇率に。
武蔵小杉駅周辺の大型開発が効果を及ぼした。
横浜市は前年の1.8%減からO目1%減へと縮小。
30年連続1位の横浜駅西口(西区南幸1-12-7) は前年より3%増となった。
相模原市も下落幅を縮小して0.9%減に。
特にリニア中央新幹線の誘致が進むJR橋本駅周辺の緑区橋本2-3-6は前年の1.2%減から2.8%増となった。
これら政令指定都市を除くと、上昇地点はないが、多くの市町で下落幅が縮小した。
1㎡当たりの価格トップは30年連続で横浜駅西口(西区南幸1-12-7)の444万円と、前年より3%上昇した。
上昇率上位5地点のうち、2位は西区北幸1-8-4が263万円、3位は中区山下町154-6が183万円と微減した。
4位の川崎市川崎区駅前本町3-6が178万円、5位の川崎区砂子2-11-14が166万円と、それぞれ横ばいだった。
◆全国の地価動向
全閏平均は、住宅地が21年連続、商業地が5年連続のマイナスに。
全国平均の下落率は住宅地が2.5%、商業地は3.1%。下落率は3大都市圏(東京、大阪、名古屋)を中心に縮小し、下げ止まりの傾向が拡大し
た。
下落幅が縮小した都道府県は前年比で住宅地が昨年の22から39 に、商業地が同31から42に、それぞれ増えた。2009年以降、全都道府県で
下落が続く中、愛知の住宅地が横ばいになった。
国交省は低金利や住宅ローン減税が需要を支えている、と見ている。
南海トラフの巨大地震で津波被害が想定される、神奈川、静岡、三重、和歌山、高知など太平洋沿岸部の下落幅が大きい。高知市で1l.8%、浜松市で8.9%の下落地点があった。
岩手県陸前高田市の高台が上昇率全国1位の14.6%になり、仙台市で平均が上昇した。
3大都市圏の下落率は、住宅地0.9%、商業地0.8%と3年連続で縮小。
うち東京国が住宅地1.0%、商業地0.9%縮小した。
大阪圏は住宅地、商業地ともにl.0%下げたのに対し、名古屋圏は住宅地0.2%、商業地0.5下落と3大都市圏の中で最もマイナス幅が小さかった。
1㎡当たりの最高価格は、東京都中央区銀座2丁目の明治屋銀座ビルが1970万円と7年連続で1位だった。
▼基準地価▼
土地取引や固定資産税評価の目安となる基準地価は1㎡当たりの土地価格。
国の公示地価(1月1日時点)を補完する役割もあり、土地取引の指標になる。
全日かながわより〜仲介手数料無料不動産センター2012/11/20