気になる不動産があった!物件の『キープ』『仮押さえ』は可能?

Q 気になる不動産があったときに、購入を検討してる物件を「仮押さえ」などの予約で売り止めにしてもらう事(キープする事)はできますか?
A一概には言えませんが、「買主様の条件や申込内容」と「売主様のお考え次第・・・」といったところではございます。

一般の方にとって「不動産を買う」という事は、やはり高い金額なので当たり前ではありますが、かなり緊張されるというか、ご決断に勇気が必要な部分もあるかとは思います。
気に入った物件があったとしても、「もしかして、他にもっと良い物件があるのではないか・・・」、「将来的にお金の支払は大丈夫なのか・・・」、「本当に買ってしまって良い物件なのだろうか・・・」といった不安が頭をよぎるのではないでしょうか。
私どもプロでも不動産を購入する時は、どんな物件であっても「絶対に100%間違い無い物件!」というのは存在しない事がわかっているので、最終的にはある程度の覚悟をして決めるしかないかもしれません。
購入を検討している物件があって悩んでいる時や、資金の調達等をしている時、「買うかどうかわからないけど、検討したいのでとりあえず物件を仮押さえしてもらえませんか?」と売主様にお願いしても、やはり無理かとは思います。
(売主様にとってメリットがなく、デメリットしかないので当然ですが。)
どの様にするかというと、買主様からの意志を書面にて示す「不動産購入申込書」を売主様に提出してご検討頂き、場合によっては契約予定日まで販売停止にして頂ける売主様もいらっしゃいます。
ただ、お申込み内容が、「値段交渉があったり、ご契約日までの日数が多かったり、ローンが未審査」等の、売主様にとってマイナス点が多いほど、販売を停止してくれる(買主様の為に一番手の予約としてキープしてくれる)可能性は低くなります。
売主様からすると、少しでも「高く・早く・確実に」買って頂ける方との契約をご希望されますので、販売停止をして他のお客様をお断りするのはデメリットにしかならない為です。
「不動産購入申込書」とは、買主様が「まだ買うかどうかはわからない」といった状態で売主様に提出すると、先方にご迷惑がかかってしまう事もあるので、「物件を買う」というご意志を固めてから、ご署名・ご捺印頂く書類になります。
尚、申込書を売主様に提出するにあたり、優先してもらいやすい方法やコツが以下の様に何点かありまして、これをおさえているか否かで売主様のお返事はかなり変わります。
①購入時の資金計画が明確である事
「ローン審査が事前承認済」 or 「現金一括購入」
例えば住宅ローンをご利用の方は、銀行など金融機関の住宅ローン事前審査(仮審査)の承認を取得している方でしたら、ご契約後にローン特約で白紙解除になるリスクが低いので売主様からの印象は断然良いですし、そもそもローン審査前だと購入できる方か否かわかりません。
また、一般的にはローン審査に有利な公務員の方や上場企業の方、ご年収の高い方、等であったとしても「過去数年以内のお借入に対する支払の遅延や不払いの事故歴」があると、思いもよらずローン審査が否決になる事もあります。(否決までならなくとも、減額や期間短縮、金利調整、等でご希望を満たさない審査結果になる事もあります。)
注意点としまして一般の方はご存じない事が多いのですが、ローン事前審査は「審査結果の信頼性が高い金融機関でおこなう事」が非常に大事になります。
なぜならば、金融機関によっては「事前審査や仮審査は承認(合格)しても、本審査で否決するケースがよくある。」ことがあるからです。
一概には言えませんが、メガバンクや大手地方銀行の事前審査は信頼性が高い事が多く、「ローン審査の承認書」(合格証の様なイメージでしょか。)が発行される事も多いので、まずはそういった金融機関で事前承認を取得する事をおススメ致します。
逆にネット系銀行や一部の金融機関の中には、審査結果の信頼性が低い事もあるので、そういった金融機関の承認結果を売主様に提示しても、「買主様のローン本審査が通るか不安・・・」と判断されてしまう事もあります。(売主様が個人の方の場合でも、売主様担当の不動産業者様にその様に判断されてしまいます。)
だからといって、色々な銀行に事前審査を何件も複数申込む方がいらっしゃいますが、これは各金融機関からのイメージが悪くなるケースもあるので、やめた方が良いかと思います。(隠しても、審査履歴自体が個人情報に登録されてしまうので、ばれてしまいます。)
どの様にすればよいかというと、住まいるホームでは、まずお客様の資金状況やお勤めの内容、物件の状況等を細かくヒアリングさせて頂きまして、その内容に最も適した、借入額や融資期間、金利等の借入条件の良さそうな金融機関を選定してアドバイスさせて頂いております。
これは審査を出した際に「仮に通っても金利条件が悪そう(金利が高い)」な場合や、「そもそも審査に通らなそう」なケースでは、お客様の個人信用情報を汚すだけで無駄な審査になってしまうために、そういったローン審査は最初から避けるべきだからです。
②申込日から契約希望日までの期間(日数)を短く設定する事
かんたんに申し上げますと、「すぐに契約したい!(いつでも契約できます!)」とアピールする事です。
現実的には、売主様の都合があったり、ご契約時に発行される「売買契約書や重要事項説明書」等の作成や、物件調査にも時間が必要ですので、すぐにご契約できない事もあるのですが、例えば購入申込から契約日が1週間以上も先だたりすると「ちょっと迷ってるのかな・・・」とか「気が変わってしまう可能性のある方」と思われてしまうかもしれず、それでしたら売主様としては他の方も引き続き募集したいのではないでしょうか。
もしご契約日を直近で設定できれば、売主様から他の方に対し「契約予定につき売り止め」といった対応をしてもらえる事も多く、基本的には優先権を確保されている様な状態にして頂けます。
尚、この状態を不動産業界では「申込あり」や「買付あり(かいつけあり)」、「話有り(はなしあり)」、「話が入っている(はなしがはいっている)」、等と表現したりしています。
③残代金決済日(引渡日)の日を売主様の希望にも合わせる事
一般的に決済日とは、銀行等に売主様・買主様・司法書士・仲介業者・金融機関、の方が集まって、ローンをご利用の際は融資の実行を受けたり、最終的な費用支払をしたり、登記手続き、物件の受け渡し(カギや諸々の書類)、等々の作業をする日になり、物件の引渡しをうける日になります。
よく一般の方は、物件の引渡しというと「物件に集まって行われる」と思っていらっしゃる方も多いのですが、現実的には銀行にて行われるケースが多く、そこで全て完結致します。
その後、司法書士が登記所等に登記手続きに行きますので、時間帯としては午前中か昼ぐらいに行われる事が多いかとは思います。
つまり、この日を持って売主様は物件の残代金を受領して、物件を引渡しますので、新築物件や中古で空室の物件は、早期決済を希望する売主様が比較的多く、居住中の中古物件等については、逆に「遅めの決済」を望む売主様もいらっしゃいますので、ケースバイケースです。
特にパワービルダー系の新築戸建ての売主様は早期決済を望まれる事が多く、場合によっては「3週間以内に決済」といった条件になることもよくあります。
とはいえ、買主様にもご希望やご都合等もあるかと思うので、お互いにとって都合の良い日をうまく調整できればベストかもしれません。
④ 契約時の手付金を適正な金額に設定する事
まずご契約時の手付金とは「物件価格に充当されるもの」になりますので、多く払っても少なく払っても、物件取得時の総額は変わりませんので、安い方が得とかそういった物ではありません。
手付金は売主様が宅建業者様か一般の方か、物件が完成物件か未完成物件か等により相場の金額が違います。
例えば新築戸建てですと、基本的に売主様は宅建業者になりますが、完成物件ですと物件価格の10%以内かつ1,000万円以内、未完成物件ですと物件価格の5%以内かつ1,000万円以内、といった範囲内で低すぎないぐらいの、できれば高めの金額が良いかと思います。(売主様が宅建業者の場合、上限額は20%以内ですが、前記のパーセンテージを超える金額ですと法的に手付金の保全措置を講ずる必要がでてきてしまうので、高すぎると売主様は嫌がります。)
といいますのは、ご契約時の手付金はキャンセル時に「買主様の場合は手付金放棄」・「売主様の場合は手付金倍返し」という原則があります。
なので、例えば10万円ぐらいの手付金で数千万円の物件を契約をした場合には、お互いに気軽にキャンセルしてしまえる状況になってしまいます。(10万円は損しますが)
手付金がそれなりの金額であれば、お互い無責任にキャンセルする事ができませんので、ご決済まで安心して進めやすいかと思いますし、売主様にもご納得して頂きやすいです。
ただ、買主様の自己資金が少なく手付金があまり用意できないケースも実際にはよくありますので、その際は他の内容をなるべく売主様のご希望条件に合わせて、そのかわりに手付金を低く設定してもらう等の交渉が必要かとは思います。
⑤購入申込書記載の購入価格(買付価格)を適正な金額にする事
物件やタイミングにもよりますが、場合によっては価格交渉ができるケースもよくありまして、買主様としては少しでも安く買いたいのが当然の事かとは思います。
その際に、まずは交渉と思ってあまりにも常識外な交渉金額を提示してしまうと、売主様の心情としては「この方とは取引をしたくない。」と思われてしまう可能性もあるかと思います。
ましてやその様な状況になってしまうと、買主様の為に売主様が一番手として優先してくれたり、物件をキープしておいてくれるはずがありません。
買主様としては、なるべく売主様の許容できる最下限価格を引き出したいところですが、交渉の仕方次第では単純に「お断り」の回答しか返ってこなくなってしまい、結局良い結果を得られない事もあります。
もし交渉をするのであれは、不動産業者様とよく相談して、「可能性のある金額」や「その少し下の金額」ぐらいからうまく交渉をすると、話がまとまる可能性も高くなるのではないでしょうか。
※「購入申込書」は、「買付(かいつけ)」や「取り纏め依頼書(とりまとめいらいしょ)」という様に、言われる事もあります。