『契約率70%台復帰と価格上昇の背後にあるもの』

(株)不動産経済研究所は17日、2023年7月の首都圏新築分譲マンション市場動向を発表。同月の発売戸数が2,591戸と、9ヵ月ぶりに前年同月を上回り、初月契約率が74.8%で、2ヵ月ぶりに70%台となったことが明らかとなりました。
■発売戸数の増加と契約率の改善
7月の発売戸数は2,591戸と、前年同月比で14.2%増加。これは9ヵ月ぶりの前年同月超えとなります。この数値は、新築マンションの供給量が増えていることを示しており、市場が活況を呈している可能性があります。
さらに、初月契約率が74.8%となり、2ヵ月ぶりに70%台を回復。これは、新築マンションに対する消費者の関心が高まっている証とも言えます。
■価格の急激な上昇
1戸当たりの平均価格は9,940万円となり、前年同月比で55.8%の上昇を記録。1平方メートル単価も144万9,000円と、前年同月比で50.6%上昇しました。これは、5ヵ月連続の上昇となります。このような急速な価格上昇は、供給量が増える一方で、需要もそれに追いついているという現象を示しているかもしれません。
■在庫数の減少
月末時点での販売在庫数は4,850戸と、前月末から101戸減少しました。これは、新築マンションの購入意欲が高まり、売れ行きが良い状態を反映している可能性があります。
■即日完売物件の存在
特に注目されるのは、「HARUMI FLAG PARK VILLAGE T棟」1期297戸と「HARUMI FLAG SUN VILLAGE T棟」1期276戸など、7物件648戸が即日完売となった点です。これらの物件は東京都中央区に位置し、抽選倍率が平均15.3倍、最高142倍にも達しました。これは、一部の人気物件に対する競争が非常に激化していることを示しています。
■今後の見込み
8月の発売戸数は約1,500戸を見込むとされています。これにより、市場の動向がさらに活発化する可能性があります。
■ 解説:市場の背後にあるもの
このデータから読み取れるのは、首都圏の新築マンション市場が活況を呈しているという点です。COVID-19の影響を受け、一時は低迷していた市場が、人々の生活様式の変化や低金利政策の影響などから、再び活気を取り戻しているようです。
特に価格の急激な上昇は、一定の購買力を持つ層からの強い需要があること、また新築マンションに対する価値観の変化が影響しているのかもしれません。
首都圏の新築マンション市場は、今後もその動向が注目される分野となりそうです。安定した供給と、それに見合った需要の存在が、健全な市場を形成していくカギとなるでしょう。