資金計画の注意点
住宅ローン控除や各種特例等
住宅ローン控除の適用を受けるには細かな要件があります。
主なポイントは「返済期間」、「築年数」、「床面積」ですが、特に注意したいのは「床面積」でしょう。
適用要件となる住宅の床面積は「登記簿上の」床面積(内法面積)であり、一般に、広告や販売チラシに記載される床面積(壁芯面積)と比べて小さくなります。
シングルやDINKSのマンション購入においては50u前後の部屋を選ぶケースがありますが、広告等の床面積が50uを上回っていても、登記簿上の床面積が50u以上で・なければ適用を受けることができません。
ご検討の際はあらかじめ不動産業者への確認をしておくとよいかと思います。
なお、「登記簿上の床面積が50u以上であること」については、住宅ローン控除だけでなく、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」においても要件となっており、住宅ローン控除と併せて、適用の可否によって資金計画に大きな影響を及ぼす可能性があります。
価格のみに捉われない総合的な判断と下調べが必要になるでしょう。
住宅ローン控除については、他の特例との併用可否もポイントになります。
買換えにあたっては、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」を受けるべきか、住宅ローン控除を受けるべきかの見極め等も必要になります。
また、繰上返済や借換えについても、方法によってはその後、住宅ローン控除の適用を受けられなくなるケースがあります。
繰上返済等を想定している場合には、併せて確認したいところです。管理費、修繕積立金
戸建てと異なるマンションのコストとして捉えるだけでなく、将来的な値上げを想定しておくことが重要です。
新築マンションの場合、修繕積立基金の徴収があるとはいえ購入当初の修繕和立金が低額に設定されていることが多く、特に注意が必要です。
完済すれば支払いがなくなる住宅ローンとー異なり、保有している限り支払いが続くので、修繕積立金や管理費の上昇も想定して試算してみる等、のシュミレーションが必要です。
なお、戸建てについても修繕費はかかるので、積立等による準備が必要となることは言うまでもありません。税金負担
回定資産税等の税金負担についても十分に確認しておくべき事項となります。
新築住宅については当初の負担が軽減されていることもあり、軽減期間経過後は税負担が増えるので特に注意が必要です。融資実行までの金利変動リスク
金利は、一部を除いて融資実行時点のものが適用されます。
新築マンション購入や、土地を購入し建物を建てる場合は、融資実行時点までの間の金利変動リスクについても確認しておくとよいでしょう。物件に関する注意点
マンションの場合、契約時の重要事項説明や、「管理に係る重要事項調査報告科」によって、ある程度、現状を把握することができます。
契約にあたってはこれらの交付を受け、気になる点は不動産業者に確認した方がご安心かと思います。
ただし、戸建ての購入や戸建て建築を目的とした土地の購入は、マンションの購入に比べて個別性が格段に高くなり、チェックすべき点も複雑かつ専門的になります。
物件の状況と価格設定とが密接に結びついているケースも多く、検討段階で確認しておくべきポイントが多くなります。道路
接道状況は物件の価格や価値に大きく影響します。
セットバックが必要となるケースでは、その部分には建築ができないため、建築面積等は小さくなってしまうケースが有ります。
また、接道義務法を満たさず「再建築不可」として建替え等ができない場合には、その価値は大きく下がることになります。
どのような種類の道路に、どのように接しているかの確認が非常に重要になります。
接している道路が私道のみであるにもかかわらず、その私道について持分を有していないケースもあります。
日常の通行はできても、建物を建てる際のガス管や水道管の埋設、その工事に伴う掘削等を行うための私道利用について承諾料、や通行料を要求されたり、所有者が代わることで後々、状況が変わってしまう可能性も考えられます。
従前の経緯や、持分所有者との問に建替え時における道路の利用等を認める旨の承諾が取得されているか等を確認しておくべきでしょう。
私道の持分がない場合、自分が購入し利用するのに問題はなくても、売却時にはマイナス材料になることも考えられます。建築基準法との関係
「建ぺい率オーバー」や「容積率オーバー」の物件については、住宅ローンが利用できないケースがあり、最初から、住宅ローンの申込みを受け付けない金融機関もあります。
当面の利用には問題がないとしても、売却の際は購入者がローンを使いづらい事も多く、将来の売却が難しいことがあります。
ご検討の物件が「相場よりかなり安いのでぜひ購入したい」とか「掘り出しものを見つけたので今すぐ購入したい」というような場合、調べてみると前記のケースに該当することも少なくありません。
「なぜ安いのか」やデメリットを十分に理解したうえで購入するのであれば良いですが、知識や用心深さがなければ、割安感につられて購入してしまうこともありますので、注意が必要です。不動産購入における注意点のまとめ〜
戸建てや土地の購入では、先述のような点が価格に大きく影響しているにもかかわらず、リスクについて正しい判断ができずに購入し、将来、大きなトラブルになることも考えられます。
マンションの購入でも管理費や修繕積立金等の負担等が将来のライフプランに大きく影響することもございます。
不動産は個別性が高く、わかりづらい事項も多いので、住宅購入についての検討をする場合は、購入時点の資金計画だけでなく、購入後のライフプランやリスクを十分に踏まえてトータルで考えていく必要があります。
不利益な事項や注意すべき事項に対する知識をある程度ご自身でも勉強し、いざというときには、すぐにアドバイスを求めることができる不動産業者を探すのも大切な事かもしれません。