拡大するマンションリフォーム市場 〜注目される専有部の伸び〜
中古住宅やリフォームの市場増大をはかる一環として、政府は老朽化マンションの改修や建替えを促進している。ある予測によれば、マンションのリフォーム市場は倍増するという。
《国土交通省が目指す「2020年までに市場20兆円規模」》
2012年3月、国土交通省は「中古住宅・リフォームトータルプラン」(以下「トータルプラン」と略)を公表した。
これは2010年6月策定の「新成長戦略」中の「2020年までに、中古住宅流通・リフォーム市場の規模倍増」という目標を実現するために、今後どのような施策をとるべきかをとりまとめたものである。
「新成長戦略」では、現在新築住宅が中心の住宅市場を中古住宅の循環利用中心に転換させるべく、中古住宅の品質や性能を高めるリフォームが重視されている。
従来わが国は欧米に比べ中古住宅の流通や、住宅投資中のリフォームの割合が低かった。
しかし、全住宅流通量に占める既存住宅の割合が平成2年の5.5%から平成20年には13.5%に上昇するなど、近年中古住宅市場が広がってきている。
「トータルプラン」ではこうした流れを受け、中古住宅流通・リフォーム市場が2020年までに倍増した場合の規模を「20兆円」と明記。
「5千万戸超の住宅ストックについて、消費者の多様なニーズに対応した魅力的なリフォームを促し、住宅投資の活性化による内需拡大を実現」する、と記している。
《マンションの老朽化進行への懸念》
「トータルプラン」で、具体的な取り組みとして示されているものをいくつか挙げる。
・リフォーム市場の環境整備・・・工事費用や事業者についての情報提供、リフォーム瑕疵保険の普及促進など
・既存住宅ストックの質の向上の促進・・・リフォームローンの充実などリフォームに対する支援、マンション等の適切な維持管理・再生の促進など
・中古住宅流通・リフォームの担い手の強化・・・共同住宅の再生・延命化のための技術開発など
また、宅建業者とリフォーム業者との連携が重視されていることも特徴である。
こうした「トータルプラン」公表から約2か月後の2012年5月、政府の国家戦略会議は「新成長戦略」の施策実施状況についてフォローアップを行った。
実施が滞っているものとして、「老朽化マンションの改修に係る決議要件の適用関係の整理」などを挙げ、「政府の責任として速やかに実施を図り、成果の実現につなげるべき」と提言した。
老朽化マンション改修・建替え等については以前より国は大いに懸念しており、たとえば2010年5月公表の「国土交通省成長戦略」では、築50年超の分譲マンションが2010年時点の1万戸から20年後には94万戸に増加すると予想されること、住民が管理に無関心であること、管理組合役員の担い手が不足していること、また改修等にあたっての住民の合意形成などを課題として挙げている。
《専有部のリフォーム市場が拡大》
こうした施策を背景に、中古マンションにおいては建て替えや大規模改修とともに専有部リフォームが活性化することが予測されている。
マンションリフォーム推進協議会の「12年度マンションリフォーム市場将来需要推計」によれば、行政によるリフォーム推進施策を加味した場合、2020年のマンションリフォーム市場規模は2010年の約1.93倍にあたる約2兆7千億円に上るという。
およそ2倍である。
同協議会によると、内訳推計は共用部のほうが専有部よりもやや多い程度だが、伸び率では共用部が約1.75倍であるのに対し専有部は約2.19倍と予測。
専有部リフォームの潜在需要が顕在化すると考えられるという。(住宅新報)
今後マンションのリフォーム市場は共有部・専有部、あるいはさまざまな規模において、拡大していくことが期待される。
全日かながわより〜仲介手数料無料不動産センター 2012.7.22